重いランドセルが子どもに与える影響
通学している小学生を見るとランドセルを背負っている子をよく見かけますよね。はたから見ているとあまり重たそうに見えませんが、実際に小学生が背負っているランドセルと持つと、結構な重さがあります。特に低学年の子どもにとってはかなりの負担になりますが、実は重いランドセルが子どもの体に影響を与えることをご存じでしょうか?
平成30年には文部科学省も子どもの発達に影響が生じかねないとし、子どもが重いランドセルを背負わないように「児童生徒の携行品に係る配慮について」という通達を出したほどなのです。
児童生徒の携行品の重さや量への配慮については、従来から様々な取組を行っていただいているところですが、授業で用いる教科書やその他教材、学用品や体育用品等が過重になることで、身体の健やかな発達に影響が生じかねないこと等の懸念や保護者等からの配慮を求める声が寄せられていることから、今般、各学校における実際の工夫例を別紙のとおり作成いたしました。 ※1
重いランドセルは肩や腰への負担が増え、姿勢が悪くなる可能性が
教科書や筆記用具などが入った重いランドセルは、子どもの肩や腰への負担を増やします。
また、重い荷物を背負うと自然と前傾姿勢になることに気づくのではないでしょうか。ランドセルの重量が重いほど前傾姿勢がひどくなると報告されています。
毎日重いランドセルを背負って登下校をするうちに、前傾姿勢がクセになって正しい姿勢が取りづらくなるケースも考えられます。
- 一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会「体型に合ったランドセル選び」(http://www.randoseru.gr.jp/weight/,2021年10月5日最終閲覧)
- 堀江鞄製造「【ランドセル】重いランドセルに有効な対策4つ!重いまま使い続ける影響とは?」(https://horiebag.com/useful/randsel/35963/,2021年10月5日最終閲覧)
- 日本家政学会誌「小学生の学習用具の携行方法と負荷について」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/50/9/50_9_949/_pdf,2021年10月5日最終閲覧)
ランドセル重すぎ&荷物多すぎ問題!先輩ママはどうしてた?
重いランドセルは子どもの体に負担をかける…とは言え、小学生は意外と持ち物が多いものですよね。荷物が多すぎてランドセルが重い…という問題に対して、先輩ママたちの意見をみてみましょう。
今のところ、文句言うことなく使っています☺️
ご存知かもしれないですが、片ベルトや背当てのデザインで背負い心地がちがうようなので可能なら試着をおすすめします☺️
購入時に軽いものを選ぶこと、また体になじむデザインのものを選ぶという意見がありました。重さだけでなく、子どもの体にフィットする形を選ぶために試着をしっかりするのがよいというのは、選ぶ際に重要なポイントですね。
ランドセルメーカーに学ぶ、重いランドセルを背負うときの対策
それでは、子どもの体への負担を減らすために、重いランドセルを背負うときの対策法について詳しく解説していきます。
ベルトの長さを調整し体にフィットさせるようにする
重要なのは、ベルトが肩に接している面積の広さ。ベルトと肩がスキマなく接することで、食い込みや肩ズレを防ぎます。 ※2
ランドセルによる子どもへの負担は、背負心地によっても大きく変わります。有名なランドセルメーカーである池田屋では、正しい背負い方について上記のように説明しています。
子どもはどんどん成長していきますので、定期的にベルトの長さを見直すのがよさそうです。
重いものは背中側上部にいれるようにする
・重い荷物は背中側に寄せて入れる
重い荷物は背中から近い場所に入れることで、ふらつきを防ぎ、体の負担を減らします。
・重い荷物は上の方に入れる
先述した入れ方に併せて、できるだけ上部に置くことをお勧めします。下部に入れると後ろに引っ張られてしまうので重く感じやすくなってしまいます。 ※3
体から離れた場所に重いものを入れると、体がふらつきやすく不安定になってしまいます。また、重い荷物を上に入れるのがよいそう。
荷物を入れる際、重いものから順に入れがちなので、気をつけたいポイントです。
ランドセルの隙間をタオルで埋める
背中との隙間は、大人の手のひらが目安
気をつけをした姿勢で、ランドセルと背中の間に大人の手のひらがスッと入るくらいがちょうどいい隙間です。体への負担を減らすため、成長に合わせてベルト穴の位置を変えたり、厚着の厚着の冬場は少し緩めたりして調節しましょう。 ※4
土屋鞄によると、ランドセルと背中の隙間は大人の手のひらくらいがよいとのこと。上着の厚さなどで変わるため、季節の変わり目にベルトの長さを調整する習慣をつけるとよさそうですね。
重いランドセルを軽くする置き勉
重いランドセルを軽くするための方法としておすすめなのが「置き勉」です。置き勉とは教科書や学習用具を学校に置いて帰ること。
実は文部科学省による「児童生徒の携行品に係る配慮について」という通達の中でも、次のように置き勉を推奨しており、重いランドセルを子どもに背負わせないように配慮することとしています。
宿題で使用する教材等を明示することにより、家庭学習で使用する予定のない教材等について、児童生徒の机の中などに置いて帰ることを認めている。 ※5
持って帰る必要のないものを学校に置いておければ、ランドセルが重くなりすぎることもありませんし、子どもにとって効率的でもありますよね。
ただし、学校によって置き勉の内容は違いますので、置いて帰っても良いものを学校に確認してからルールを守って置き勉するようにしましょう。
布製やナイロン製のランドセルも軽量化におすすめ
ランドセルの中に入れる荷物を減らすこともそうですが、ランドセル自体を軽量化するという方法も効果的です。
ナップランド
重量がなんと約660gと、一般的なランドセルの半分の重さしかありません。色もツートーンで全10色そろっていて、子どもの好みにあわせて選べるところがうれしいですね。
はっ水加工が施されたナイロン素材なので雨の日でも教科書がぬれてしまうことはなく、軽量なのにA4サイズに対応している収納力の高さが魅力です。
ダイワホーサン RD-241
元々は障がいのある小学生向けに作られたランドセルなので、使いやすさへの配慮が徹底されていることが最大の特徴。面ファスナー式でファスナーにはリングスライダーがついているなど、手先が器用でない子どもでも無理なく使えます。
重量は約1,000gと少々重めですが、本革ランドセルと比べると軽量です。オプションで胸ベルトをつけることもできるので、背負心地は本革ランドセルより快適で、体へのフィット感も高まりますよ。
重いランドセルも一工夫で負担軽減!
小さな子どもの体に対してランドセルはあまりに重いと感じられますが、文部科学省が推奨する置き勉をするなど、少しの工夫で体への負担を軽減させるための対策は可能です。
ランドセルが重いと姿勢が悪くなるなどの影響が出かねません。紹介した軽量ランドセルも活用しながら、子どもがすくすくと発達できるよう対策を考えてあげてくださいね。