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子どもの耳掻きをする頻度はどれくらいがいい?
ヒトには耳垢を自然に排泄する機能(自浄作用)が備わっているため、多少の耳垢であれば家庭で無理に取る必要はまったくありません。綿棒や耳かきで習慣的に耳掃除をしている人も少なくありませんが、入浴後にぬれた耳を軽く拭う程度が無難です。 ※1
子どもの耳掻きは基本的に、2週間から1か月に1回程度で良いとされています。耳垢は不要な角質が固まったものなので、体についた垢のように自然に取れるからです。反対に耳掻きをしすぎると、耳の中が傷ついてしまうなどのトラブルへとつながりかねません。
奥のほうまで綿棒を入れるのではなく、入り口付近を拭き取ってあげるのが子どもの耳掃除のやり方。もし自宅で子どもの耳掻きをするのが怖い場合は、耳鼻科でしてもらうと安心ですよ。
耳掻き程度で耳鼻科に行くのは気が引ける…と思うパパママもいるかもしれませんが、無理な方法や間違った方法で耳の中を傷つける方が危険なので、家庭での耳そうじがうまくできそうにない場合は、耳鼻科で耳垢をとってもらいましょう。
- 国民生活センター「油断しないで!耳掃除-思わぬ事故につながることも-」(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160225_2.pdf,2022年6月21日最終閲覧)
- 砂町銀座はた耳鼻咽喉科「コラム4:子どもの耳掃除は必要ですか?」(https://sunamachiginza-ent.com/column_04.html,2022年6月21日最終閲覧)
子どもの耳掻きは頻繁にしなくていい理由
耳掻きは子どもでもしたほうが良いと考えるパパママもいることでしょう。子どもの耳の中に耳垢が溜まっていると、つい取ってあげたくなる…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かに耳垢が溜まりすぎると、聴覚の発達や鼓膜に悪影響があるのではと不安に感じますよね。しかし実際には頻繁に耳掻きをすることは勧められていません。一体なぜ、子どもに耳掻きは頻繁にしなくてよいとされているのでしょうか。
子どもの耳掻きが勧められていないのには、次のような三つの理由があります。
耳垢は外耳道の自浄作用により自然に押し出されるから
まず基本的に耳垢は自然に排出されるようになっているので、本来であればそれほど耳掻きをする必要はありません。口や体を動かすと耳の入口のほうに押し出されます。
もちろん自浄作用は生まれたばかりの新生児にも備わっている体の機能なので、耳掻きをしなくてはならないほどの耳垢は溜まらないのです。
耳垢は溜まりすぎると耳の病気を引き起こす原因にもなりますが、通常であれば外耳道の働きにより自然に外へと排出されます。そのため子どもの耳掻きは、耳の周りに付着している耳垢を綿棒で取るだけで良いと言われているのですね。
耳掻きをすると子どもの耳の中を傷つけてしまう恐れがあります。放っておいても自浄作用で自然に押し出されるものなら、あえて傷がつくかもしれないリスクを負いながら耳掻きをするよりも、体の自然な作用に任せたほうが安全でしょう。
耳垢には細菌の増殖を防ぐ役割があるから
「耳垢」と聞くと「汚いもの」というイメージがありませんか?しかし実は、耳垢には耳を守るための大切な役割もあります。
耳垢には細菌の増殖を防ぐという大切な役割があるので、耳垢を取りすぎると雑菌やカビの菌が繁殖してむしろ耳の中が汚くなることも。そして耳掻きのときについた傷に繁殖した雑菌が入り込めば炎症が起きてしまうかもしれませんよね。
耳垢は単なる不要な垢ではなく、耳の中を守るという大切な役割があります。あまり頻繁に取りすぎると、かえって病気を招いてしまうこともあるので注意してください。
耳垢には耳の皮膚を保護する役割があるから
細菌の増殖を防ぐ働きをする耳垢にはさらに、耳の中の皮膚を守るという役割もあります。耳垢はホコリやチリが耳の中に入らないようにブロックしたり、皮膚を乾燥から守ってくれたりするものです。
耳垢は古くなった皮膚と皮脂腺からの分泌物により作られ、そのしっとりとした油分で皮膚を保湿してくれています。
外耳道の皮膚はとても敏感なので、自浄作用で耳垢が排出されるまでの間、皮膚を守るための盾となってくれているのが耳垢なのです。
耳掻きをすると耳を保護するためのものが失われてしまうということを考えると、頻繁にしなくても良いという意見にも納得できますよね。
- 国民生活センター「油断しないで!耳掃除-思わぬ事故につながることも-」(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160225_2.pdf,2022年6月21日最終閲覧)
- 川嵜耳鼻咽喉科「たかが耳垢、されど…」(http://kawasaki-jibika.jp/sample/,2022年6月21日最終閲覧)
- 日本耳鼻咽喉科学会「耳垢」(http://www.jibika.or.jp/citizens/kids_entqa/mimi_mimiaka.html,2022年6月21日最終閲覧)
子どもの耳垢を取ったほうが良いケース
耳掻きは頻繁にしなくても良いと解説してきましたが、子どもの耳垢をそのままにしておけば良いというわけでもありません。次のように耳垢を取ってあげたほうが良いケースもあります。
- 湿った耳垢が多く溜まっているとき
- プールに入るとき
- 耳垢のせいで聞こえにくいとき
耳垢の状態は人により違いますよね。乾燥している耳垢は自浄作用で自然に落ちやすいですが、湿った耳垢の場合はいつまでも耳の中に残ってしまうこともあります。
湿った耳垢がたくさん溜まっているなら、綿棒で耳の入り口を拭いてあげたほうが良いでしょう。
また、プールに入るときに耳垢がたくさん溜まっていると、耳垢が濡れて聞こえにくくなったり、外耳炎の可能性が高まったりします。それ以外のケースではめったにないでしょうが、耳垢のせいで聞こえが悪いなら耳掻きをしてあげてくださいね。
子どもの耳掻きのやり方とコツ
頻繁に行う必要がない耳掻き。しかし家庭で全くしないというわけにもいかないでしょう。そこでここからは子どもの耳掻きをするときのコツを確認していきます。
正しい耳掃除のやり方をマスターしておくことは子どもの耳の健康を守ることにもつながるので、次のコツを意識しながら慎重に行ってくださいね。
耳を軽く後ろに引っ張って中を見やすくする
子どもの耳掻きをしてあげるときは、耳を後ろに軽く引っ張って中を見やすくすることがコツです。耳を後ろに引っ張ってから、上に引き上げるようにすると耳の中が見やすくなります。
耳垢はよく見えるところだけ取る
子どもの耳掻きをするために耳の中を除くと、奥のほうにも耳垢が見えることがあるでしょう。しかし、耳垢は耳の穴から1cn程度の十分よく見えるところだけ取るようにし、奥のほうに綿棒を入れすぎないように注意してください。
子どもの耳掃除のやり方を間違って、綿棒で耳垢を奥に押し込んでしまうと、耳垢栓塞になる可能性もあるようです。あくまで手前1cm程度の部分を綿棒でふき取るくらいで十分ということです。
もし子どもの耳の奥に大きい耳垢が見えた場合は、耳鼻科で耳掃除をしてもらうようにするのがおすすめ。子どもの耳垢の状態が気になるパパママは3~4か月に1回くらいの頻度で良いので、耳鼻科で子どもの耳掃除をしてもらいましょう。
子どもの耳を傷つけないためにも、無理な耳掻きをすることなく、プロに任せることも大切ですね。
耳掻き棒は使わず綿棒で
子どもの耳掻きは耳掻き棒ではなく、綿棒で行います。子ども用として人気のライト付き耳掻きなども市販されていますが、一つ前の項目で解説したように、耳の穴から1cmくらいの耳垢を取るだけで十分ですので綿棒で問題ありません。
子どもの皮膚は大人より柔らかいですが、それは耳の中の皮膚でも同じこと。子どもの柔らかな皮膚を傷つけてしまわないように、綿棒を使って耳掻きをしてくださいね。
子どもが嫌がるときは椅子に座らせて耳掻きを
子どもの中には、嫌がって耳掃除をさせてくれない子どももいます。もし膝枕を嫌がっているようなら、子どもを椅子に座らせて、パパママが横から耳掻きしてあげるようにするのがコツです。
膝枕ではなく耳掃除自体を嫌がってさせてくれない場合は、好きな絵本やアニメを見せて、子どもの気持ちを落ち着かせてからするとうまく行く場合もありますよ。
耳の中に何かを入れるというのは子どもにとって怖いと感じる場合があるので、とにかく「無理やり」は避けて、どうしても家庭でできない場合は、耳搔きが必要かどうかも含め耳鼻科でチェックしてもらいましょう。
パパママの感覚で「耳垢があるかた耳掻きが必要」と感じても、耳鼻科医の診察では無理な耳掻きは必要ないと診断される場合もあるでしょう。
- 砂町銀座はた耳鼻咽喉科「コラム4:子どもの耳掃除は必要ですか?」(https://sunamachiginza-ent.com/column_04.html,2022年6月21日最終閲覧)
- いでい耳鼻咽喉科医院「子供の耳垢は取るべきか?」(https://www.idei-jibika.com/blog/682,2022年6月21日最終閲覧)
- 宿久耳鼻咽喉科「ご家庭での耳あかそうじの方法(やり方・仕方)」(https://www.y-jibika.jp/14779650132489,2022年6月21日最終閲覧)
- 日本耳鼻咽喉科学会「耳垢」(http://www.jibika.or.jp/citizens/kids_entqa/mimi_mimiaka.html,2022年6月21日最終閲覧)
先輩ママは子どもの耳掻きをどうしている?
実はそれほどする必要がない子どもの耳掻き。先輩ママたちもほとんどしていないのでしょうか?
ここからは、ママリに寄せられたコメントの中から、子どもの耳掻きに関するものを紹介します。先輩ママたちの意見も参考にしながら、子どもの耳掻きについてもう一度考えてみてくださいね。
今回ご紹介した先輩ママたちが実践している子どもの耳掃除のやり方では、耳の入り口に出てきた耳垢は綿棒で取り、大きな耳垢は耳鼻科で取るというものでした。
ただ、綿棒で入り口だけを拭き取る耳掃除のやり方の場合、耳鼻科に行かないと子どもの耳に耳垢が溜まりすぎてしまうとの声も見られました。
「耳掃除のために耳鼻科に行ってもいいの?」「子どもを耳鼻科に連れて行く時間がない…」など、さまざまな事情があるでしょうが、頻度は少なくて良いので耳鼻科で耳垢を取ってもらうのは欠かせないことかもしれませんね。
子どもの耳掻きは控えめに!
今回紹介してきたように、耳垢には雑菌の繁殖を防ぎ、皮膚を守るという大切な役割があります。頻繁な耳掻きはかえって耳の中を荒らしてしまいますし、自浄作用により自然に排出されるものなので少しくらい耳垢があっても問題はありません。
子どもの耳掻きは「見える部分を綿棒でふき取る程度」、つまり想像しているより控えめにするのが基本です。
記事内で紹介した耳掃除の基本的なやり方とコツを参考にしながら、子どもの耳を傷つけないように慎重に耳掻きをしてあげてください。
もし子どもの耳の中に大きい耳垢が見られたら、ママパパが取ろうとせずに耳鼻科に行って耳掃除をしてもらいましょう。そして溜まっている耳垢の量がとても多いなど、なにか気になることがあれば医師に相談をしてくださいね。