なぜ臍帯血を保存するの?
臍帯血(さいたいけつ)とはどのようなものなのでしょうか。日本赤十字社の定義を見てみましょう。
胎盤とへその緒(さい帯)の中に含まれている血液のことです。 およそ40〜100mLの量があります。 ※1
赤血球、白血球、血小板などの「造血幹細胞」が骨髄と同じくらい含まれているようで、骨髄移植と同様の治療を行うことができると言われています。
そのため、基本的には白血病や遺伝病などといった骨髄移植で治療される病気の治療に使われます。なお、病気によっては効果が明確ではないものも多いようなので、病院で医師に相談することが必要です。
臍帯血を存する機関は臍帯血バンクと呼ばれ、公的なものと民間のものがありますので、その2つを比べてみます!
- 日本赤十字社 九州ブロック赤十字血液センター連盟「さい帯血バンク」(http://www.bc9.org/bank/,2017年9月12日最終閲覧)
費用はいくらかかる?
公的バンクでは無料
公的バンクと提携している病院で出産すると、臍帯血を提供することができます。
病院で出産前に同意書にサインし、出産の際に採取します。すぐに臍帯血バンクに運ばれて保存の処理が行われます。寄付の形になりますので料金は発生しません。
献血で有名な日本赤十字社も公的バンクのひとつです。
民間バンクでは20数万円
将来の病気に備えて、赤ちゃん自身のために赤ちゃんの臍帯血を保存しておきたい、と考える場合は民間バンクを利用することになります。
利用したいバンクに申し込み、出産する病院で医師や助産師に採取してもらいます。将来の病気に備えるものなので、10年、20年と保存することになります。 保管料に処置料や初期費用なども加わり、10年で約20数万ほどの金額がかかるようです。
再生医療に期待している企業の研究所などが民間バンクとして保存を受け付けています。
メリット、デメリットは?
公的バンク
メリット
臍帯血は利用価値が高いので、公的バンクに協力するのは意義のあることです。
保存される臍帯血が多いほど、それだけ適合する型が豊富になり、移植できる人が多くなります。厳しい基準をクリアした公的バンク提供病院の確かな技術で採取、保存してもらえます。
デメリット
公的バンクと提携している病院で出産しなければ、提供の意思があっても臍帯血の保存はできません。
公的バンクに寄付した場合、その臍帯血を自分の赤ちゃんに使うことはできません。
民間バンク
メリット
臍帯血移植は型が合わなければできませんが、本人のものであれば拒絶反応の危険はありません。必要になったときすぐに利用できます。
また、兄弟姉妹にも適合の可能性があります。
デメリット
費用が高いということが挙げられます。
移植の必要な病気にかかるのかどうかもわからないまま長期保存が続けられることになります。
またどれほどの期間保存できるのかどうかについては意見がわかれているようです。
- ステムセル研究所「さい帯血ってどういうもの?」(http://www.stemcell.co.jp/guide/about/,2017年9月12日最終閲覧)
出産時の選択肢に加えてみては?
採取の際に痛みや危険はありません。 最近では我が子に確実に使うために民間バンクを利用する人も増えてきているようです。
また、公的バンク提携病院で出産するなら、困っている誰かに役立ててもらうために臍帯血を提供するという選択もできます。
臍帯血には造血幹細胞だけでなく、他の細胞になることができる幹細胞も含まれているため、それが将来再生医療で利用できるかもしれない、という期待もあるようです。