母乳は保存できるの?
搾乳して母乳を一旦保存し、後から与える―。育児書などで見たことがあるママも多いのではないでしょうか?けれど実際にしてる人っているの?、してるママはどうやってるの?、やり方がイマイチわからないというママも多いのではないでしょうか。
母乳は赤ちゃんにとって最適・最高の栄養を含んでおり、また大切な免疫物質も含まれているため赤ちゃんにとってまさにパーフェクト食。しかし、ママと母乳はセットであり長時間赤ちゃんと離れることは難しいと思われがちです。
ママが病気になってお薬を飲む必要があるとき、仕事復帰などで保育園に預けるとき、息抜きに美容院や買い物に行きたいとき、そんなときでも保存した母乳があるととても便利です。母乳保存をはじめてみませんか?
手で搾乳する方法
母乳を保存するのに最も手軽な方法は、手で搾乳する方法でしょう。手をきれいに洗って消毒したら、親指と人さし指でわっかをつくり、それを乳輪の外側にあてます。そして指の腹に力を入れるようにして、おっぱいを押すと母乳が出てきますよ。
この方法でおっぱい全体を搾るようにすれば、かなりの量の母乳が出るはずです。
ピジョン 手動さく乳機
まるで赤ちゃんが吸っているかのような吸引刺激を与えて、母乳の分泌を促してくれる手動式搾乳機です。
母乳はそのまま付属のボトルにたまるので、別の容器を準備したり、移し替えたりする必要がなく楽に使えます。
搾乳機で搾乳する方法
手で搾乳するのが難しいママには、搾乳機を使う方法がおすすめ。搾乳機には電動式と手動式の2種類がありますが、電動のほうが楽にできるかもしれません。
ただ手動式は持ち運びやすく、電源がないところでも搾乳できるのがメリット。あたりが柔らかいので、おっぱいへの負担も軽減できますよ。好みのほうを選んでくださいね。
ピジョン 電動さく乳機 pro personal R
こちらはピジョンから販売されている、電動式の搾乳機です。スマートフォンと連携していて、搾乳や授乳を簡単に記録できます。
吸引のリズムもアプリから変更できるので、おっぱいの状態にあわせて選べるのがポイントです。
実践!母乳保存術
母乳保存は冷凍保存、冷蔵保存、室温保存の3つがあります。どの保存術を使う場合も、
- 搾乳する前に必ず手を洗って清潔にする
- 哺乳瓶やプラスチック製食品保存容器、母乳専用バッグなど密閉できる容器を使用する
- 哺乳瓶やプラスチック製食品保存容器などを使う場合は消毒する
という3点は徹底しましょう。では、母乳の保存術とあげ方をご紹介します!
母乳が多めに出ているのであれば時間のあるときに保存用の母乳を作っておくと、風邪などをひいてしまって辛いときなどに保存しておいた母乳を飲ませることができるのでとっても便利ですよ。
夜など母乳がたまり過ぎて辛いママも絞ったものは、捨てずに保存しておくといざというときに使えますよね。
冷蔵保存:短期保存に最適!解凍する手間なし
それではまず短期間の保存に向いている冷蔵保存について説明します。例えばもうおっぱいが張って大変なのに子供が寝ちゃってなかなか起きない。そんなときには冷蔵保存が向いているかもしれません。
母乳は家庭用冷蔵庫で24時間まで保存できます。使わなかった場合、搾乳した当日であれば冷凍保存することが可能です。冷蔵保存用の哺乳瓶キャップなども売っているので冷蔵する方はそのような商品を買うのも良いでしょう。
哺乳瓶につけることのできる冷蔵保存専用キャップです。お湯に触れず湯せんすることができるように、キャップの上には湯せん用指かけ穴もあります。
湯せんをかけたあと、キャップ部分をそのまま哺乳瓶用乳首に変えればすぐに飲ませることができます。こちらの商品のメーカーは冷蔵保存期間は24時間を推奨しています。
飲ませ方
冷蔵庫から取り出し、お風呂くらいの温度のぬるま湯で37度未満のひと肌程度に温めてください。脂肪分が分離している場合は、軽く振ってから飲ませてください。
熱湯や電子レンジは母乳の組織を変質させたり破壊してしまったりで、決して使用しないでください。
冷凍保存:長期保存に最適!
では次に長期の保存に向いている冷凍保存について説明します!こちらは赤ちゃんの飲む量とおっぱいの出る量が合わず、おっぱいが余ってしまって困る。そんなママにはぴったりの保存法です。
ピジョンの母乳フリーザーパックを使用した場合、母乳は冷凍庫で3ヶ月ほど保存できます。しかし、扉の開閉により温度差を保つことができないこともあるので、古いものから順番に早めに使っていきましょう。冷凍するときの保存は、母乳用フリーザーパックがおすすめです。
母乳を解凍して哺乳瓶へ移し替えるときに、パック内側に指が触れず衛生性が保てるように工夫された構造をしています。
日付・容量の記入をできるシールも付いています。パックには4ml、80ml、160mlと容量別に売られているようで、サイズをチェックしてから購入してくださいね。
飲ませ方
使用する前夜に冷蔵庫へ移して解凍し、飲ませる直前にぬるま湯でひと肌程度に温めます。または、流水で解凍してからぬるま湯で温める方法もあります。
解凍した母乳は再冷凍せず、余った場合は破棄してください。こちらも電子レンジや熱湯での解凍は、母乳の成分が変わってしまうので絶対に使用してはいけません。
室温保存:なるべくすぐにあげましょう
夏などの気温が高いときを除き、搾乳してから4時間ほど室温25度以下なら保存できるようです。しかし、温度管理など衛生面で心配な面もあるため、30分以内に使用しない場合は冷蔵か冷凍保存することをおすすめします。
- ピジョン「さく乳した母乳を保存したいのですが、どうしたらよいですか?」ピジョン(https://support.pigeon.co.jp/faq/detail-20.html#:~:text=さく乳直後の母乳,℃)をおすすめします。&text=哺乳びんで母乳を,びんをお使いください。,2023年1月26日最終閲覧)
- Medela「母乳の保存、冷凍、解凍方法」(https://www.medela.jp/breastfeeding/mums-journey/storing-and-thawing-breast-milk,2023年1月26日最終閲覧)
母乳の保存・飲ませる際の注意点
母乳は冷蔵や冷凍で保存できますが、保存したり飲ませたりするときには次の四つのポイントに注意してください。
衛生面に気をつける
まず重要なことは、衛生面に気をつけることです。搾乳する前はしっかりと手を洗って消毒もしましょう。もちろん容器や搾乳機を清潔にしておくことも大切ですよ。1日1回は消毒液や煮沸で消毒するようにします。
そして意外と盲点になりがちなのは保存場所の衛生です。冷蔵庫や冷凍庫の中も消毒液で拭いておけば安心ですね。
熱湯や電子レンジで温めない
母乳を冷凍保存したときに、解凍で熱湯や電子レンジを使いたくなるママもいるかもしれません。しかし凍った母乳を熱湯や電子レンジで加熱すると、変質してしまうことがあるので決して使用しないでください。
特に電子レンジ加熱では熱い部分がまだらにでき、赤ちゃんがやけどをしてしまうことも。母乳が極端に熱くなると感染防除のための物質が壊れるデメリットもあります。
余った場合は破棄
もし冷凍保存から解凍された母乳が余った場合は、破棄するようにしてください。解凍後は冷蔵庫内の保管であれば24時間以内は使えますが、再加熱すると雑菌が繁殖しやすくなります。
一度加熱した母乳が余ったら、「もったいない」と思われるでしょうが捨てるようにしましょう。一度に飲みきれる分だけ用意すれば無駄がなくなりますね。
持ち運ぶ際は保冷剤・クーラーバッグで
保存した母乳を持ち運ぶ場合は、クーラーバッグに保冷剤と一緒に入れて、適切な温度を保つようにすることも注意点の一つです。
母乳は15℃のクーラーボックス内なら24時間は保存できますが、25℃の室温では4時間しか保存できません。解凍した後の母乳も4℃の環境なら24時間は保存できますので、持ち運ぶ際には温度をできるだけ低くするよう注意してください。
- 日本小児保健協会「保健所における搾母乳の取り扱い神奈川県内市町村へのアンケート結果より」(https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2006/006502/039/0348-0356.pdf,2023年1月26日最終閲覧)
もうおっぱいを無駄にしない!
母乳が出すぎてしまうけど赤ちゃんが飲んでくれずおっぱいが張ってつらい、仕事や用事があって赤ちゃんを預けなければならない、そんなときは搾乳して母乳を保存することができます。
飲ませられないから、泣く泣く絞って捨てるなんてことをしなくてもいいのです。美容院などで数時間外出するときでも、ママがいなくてもパパにお願いして母乳を飲ませることができます。
なかなか赤ちゃんと長時間離れられない母乳育児、搾乳して保存することでママの行動の選択肢が少しでも増えるといいですね。