おりものとは何か?知っておきたい基礎知識
「おりもの」とは子宮や膣、汗腺からの分泌物が混じりあった粘り気のある液体のこと。体から「おりてくるもの」という意味で「おりもの」とよばれています。
おりものは初潮から10代にかけてだんだんと増加する傾向にあり、20~30代で最も多くなります。40代ごろになるとだんだんと減少していき、閉経後にはぐっと量が減ります。
おりものの重要な役割
おりものは、膣を通って細菌が体内に入ってくるのを防ぐ役割があります。
また精子が子宮に到達する役割も果たし、受精が行われる手助けをする役割があります。
おりものの臭いの見分け方
- 正常な臭い:臭いなし(無臭)、または少しすっぱい臭い
- 異常な臭い:魚の腐ったようなにおい、悪臭
おりものはほとんどが「臭いなし」とされますが、あえていうならば少しすっぱい臭いがあるようです。
膣の中には乳酸桿菌という常在菌がいます。この菌が膣の中で乳酸を分泌し、膣の中を細菌が繁殖しにくい酸性度の高い環境に保っているのです。少しすっぱい臭いがするのはこのためで、健康な状態であるといえます。
また細菌の影響で臭いが強くなる場合があります。異常な状態の場合には、臭いに変化が出ることがあるため注意を払っておきましょう。
おりものの臭いの原因とは
おりものから異臭がしたり、色や状態が変化する原因としては、カンジダ膣炎、細菌性膣症、トリコモナス膣炎などの病気の可能性があります。
また、外陰部におりものが長時間留まったり、生理用品をつけっぱなしにしてしまうことによって細菌が増えると臭いが強くなることがあります。原因不明の臭いが続くようであれば、病院を受診することをおすすめします。
おりものの量が増える原因
おりものの量には個人差があり、また生理周期で変化もするため一概にどのくらいが正常とはいえません。普段から量を確認しておくと良いでしょう。
おりものの量が急に増えてしまう原因としては、淋菌感染症やカンジダ膣炎などの病気の可能性もあります。
排卵前後や生理前はおりものが増えがちですが、その他の色や臭いにも変化がでてきている場合や、おりものの量が異常に多い状態が続く場合には婦人科へ相談するようにしましょう。
おりものの色の見分け方
正常なおりものの色は透明もしくは少し白濁した半透明に見えます。しかし、実際に外陰部まで達し目にする時には、少し黄色味がかったように見えることもあります。
おりものの色が黄緑色、ピンク色や茶色の場合は異常が疑われることもあります。おりものの色調は体調不良や病気によって変化します。
普段から正常なおりものの色を確認する習慣を付けることは、色調の変化に気づきやすくなり、異常の早期発見につながります。
おりものの色の変化の原因
おりものの色が黄色や黄緑色に見える場合は細菌感染が疑われます。
ピンク色や茶色に見える場合は血液が混ざっていることが疑われますが、正常な場合と異常な場合の両方が考えられます。生理前後の場合で生理の血液が混入しただけなのであれば、特に心配はありません。
生理前の茶色いおりものは出血!
生理予定日の前に、茶色いおりものが見られることがあります。おりものが茶色いのは血が混じっている場合がほとんどで、病気が原因の場合もあるので注意が必要です。
しかし生理前のこうした茶色いおりものは、生理が始まる準備段階としての軽い出血なので、あまり心配する必要はないでしょう。また生理前にこうした症状が見られる理由として、出血以外におりものが酸化している状態の場合もあります。一気に多量の血が出るのではなく、このように茶色いおりものから始まって本格的な生理になることもあるのです。
また、生理前の茶色いおりものは着床出血の可能性もあります。生理開始2~3日前から生理予定日までに出ることが多くあります。
- 小林製薬「おりものはカラダのサイン」サラサーティ(http://www.kobayashi.co.jp/brand/sarasaty/orimono/)
- ビバリータ「おりものの異常」ビバリータ(http://www.vivalita.com/02/10/)
- 新宿レディースクリニック会「専門」新宿レディースクリニック(http://www.1971fujinka.jp/gynecology/points/specialty.php/)
- 山本産婦人科「おりもの・かゆみ・外陰部の痛み」山本産婦人科(http://www.yc-tsu.jp/nayami/1/main.html#1c)
- 辻レディースクリニック「女性の病気」辻レディースクリニック(http://tsuji-clinic.info/original8.html)
おりものと妊娠の関係
おりものというのは体の状態を知る上でとても大事なものです。おりものは通常、排卵前後に向けて増えていく傾向にあります。
そんなおりものと妊娠との関係について紹介します。
妊娠するとおりものが増える
妊娠が成立するとおりものの量が増える傾向にあります。これは妊娠することでホルモンバランスが変化したことによるとされています。多少おりものが増えるのは正常なことですので、心配いりません。
この増える量があまりにも多いと感じる場合などには病院で相談するといいでしょう。またカンジダ膣炎などにかかりやすい時期でもありますので、清潔に保つように気をつけるようにし、かゆいなどの症状が出てきた場合には治療が必要です。
妊娠初期の茶色いおりもの
妊娠初期の症状として、茶色いおりものがでることがあります。妊娠初期に子宮などから出血することは珍しいことではなく、おりものに血が混じることで茶色く見えるのです。
妊娠初期の出血には、問題ない場合もあれば流産の兆候である場合もありますが、危険度は医師が診察をしなければ判断できません。そのため、出血が続いたり、出血だけでなく腹痛があったりするときには病院を受診するようにしてください。
臨月の茶色いおりもの
臨月に茶色いおりものが出る場合、「おしるし」と呼ばれる出産の兆候かもしれません。血の混じったおりものをおしるしと呼びますが、その際の出血は生理が始まるときのようなイメージを持っておくとよいでしょう。おしるしがあったときには、生理用のナプキンやパンティライナーをあてておきましょう。
おしるしがあったからといってすぐに陣痛がくるということではありませんが、茶色いおりものから出血が増えてきたり、腹痛が出て来たりという場合は何らかの異常が起こっている可能性があります。かかりつけの病院に連絡して、指示を仰ぎましょう。
- 山王クリニック「妊娠中の気になる症状」山王クリニック(http://sannoh.or.jp/obstetrician/symptom/index.php)
- いちご会「妊娠・出産Q&A」飯能産婦人科院(http://hannou-sanfujinka.com/obstetrics/pregnancy-and-childbirth-qa.html)
おりもの対策はおりものシート(パンティライナー)が便利
妊娠前にはあまりなかったおりものが妊娠してから急に増えた方もいるかもしれません。おりものが増えると、蒸れてかゆいと感じたり、下着が汚れたりしてしまいますよね。
おりもので下着が汚れるのを防ぐためには、おりものシートが便利です。しかし、汚れた状態で長時間換えずにいると雑菌が繁殖して感染症などになることがあるので注意が必要です。こまめに交換しましょう。
おりもののケアは洗いすぎないことが大切
おりものが増えると雑菌が増えているのかも知れないと思って石鹸などを使ったり念入りにビデで洗ったりする人もいるかもしれません。でもそれは逆効果です。
念入りに洗いすぎると元々いる良い菌まで洗い流してしまうことになります。おりものが気になっても、洗いすぎには注意しましょう。
- ユニ・チャーム「かぶれとかゆみ」ソフィ(http://www.sofy.jp/library/14-1.html)
- ビバリータ「おりものの異常」ビバリータ(http://www.vivalita.com/02/10/)
おりものは自分の体を知るのに大切なもの!
おりものは体にとって大切なものです。おりものの変化で体調や体の変化もわかるようになります。妊娠中のおりものや生理前のおりもの、排卵前後などで違いもあります。
おりものについて詳しく知り、自分の体のことを知りましょう。何かおかしいなと思うことや、異常が見られる場合は病院を受診してみてくださいね。