攻撃的な気持ちを抑えられない…それは「産後ガルガル期」かも
出産を経て、ママの体や生活環境は大きく変わります。赤ちゃんを産むという大仕事を終えた体は、思うように動かないことがあるでしょう。また、産後すぐに赤ちゃんのお世話がスタートし、慣れない育児に悪戦苦闘するはず。うまくいかないことがあったり、睡眠不足が重なったりすると、ネガティブな気持ちになるのはやむを得ないといえます。
そんなとき、夫をはじめとする家族に対してイライラする、あるいは攻撃的な言動をしてしまうことはありませんか?こうした状態になる期間のことは、産後ガルガル期と呼ばれることもあります。皆さんも一度は見聞きしたことのある言葉かもしれません。
産後ガルガル期に陥る理由とは? 決してママ本人のせいではない
妊産婦の心のケアを専門とする臨床心理士の小川朝子さんは「産後の生活の変化が、産後ガルガル期のきっかけになりうる」と話します。
「赤ちゃんが生まれると、ママは慣れない赤ちゃんのお世話に追われます。助けてくれる人がいるとしても、母としてのプレッシャーを感じてしまう方は少なくないでしょう。24時間いつ泣き出すかわからない赤ちゃんを抱えて常に気を張っていれば、心が不安定になるのは仕方ないと思います」
胸の内にあるさまざまな感情が「怒り」に覆われてしまう
産後ガルガル期には、胸の内にあるさまざまな感情が「怒り」として表れ、攻撃的な態度を取りやすくなるといいます。
「本当は不安や嫉妬、悲しみなどの感情があるのに、その上を怒りが覆い、態度として出てしまうのです。本来は奥にある思いを冷静に話せたらよいのですが、睡眠不足や慣れない育児で疲れ果てているママにとって、それは簡単なことではありませんよね」
産後ガルガル期には、あなたが怒りっぽくなったのではなく、さまざまな感情が怒りに覆われていると捉えましょう。とはいえ、家族に対して負の感情を抱き続けることも苦しいものです。
そのようなとき、小川さんは「周囲との境界線」を見直すことを勧めます。
産後ガルガル期を乗り切るには? ママ本人も周囲もラクになる方法
産後ガルガル期に大切にしたいのは、相手とあなたの境界線をはっきりさせること。境界線があいまいだと、相手の言動に対して「私が思う常識と違う」「どうしてこんなこともわからないの」と攻撃的な気持ちになります。これは、自分と同じように相手をコントロールしたいと考えてしまっていることが原因かもしれません。
自分と相手の価値観は違うことを認識し、心の中にある怒りに引っ張られないようになれば、産後ガルガル期は少しラクになるはずです。
ママ一人で解決しようと思わなくてよい
ただし、身近な人との間に境界線を引くことは、必ずスムーズにうまくいくとは限りません。あなただけでなく、パパや両家の家族が境界線ができることをネガティブに捉え、こじれてしまう可能性もあるでしょう。そのようなときは、専門家の力を借りるのも一つの手段です。
「産後ガルガル期の問題は当事者間だけで解決しなくてはいけないものではありません。カウンセラーなどの専門家に相談をすることによって好転する可能性もあります。ママが抱え込むのではなく、第三者の力に頼ることも考えてください」
家庭内のプライベートなことやネガティブな思いを話すのは気が引けるかもしれませんが、相談に慣れている専門家なら大丈夫です。
産後ガルガル期はママが一人で悩んだり我慢したりしないことが大切。家族と思いを伝え合いながら、一緒に乗り越えていけるとよいですね。
取材協力:妊産婦専門臨床心理士 小川朝子さん