離乳食完了期はいつからいつまで?
長かった離乳食も完了期に入ると思うと、子どもの成長が感じられてうれしいものですよね。離乳食完了期はいったいいつから開始して、いつまで続ければよいのでしょうか?
離乳食完了期に移行するタイミングは、生後12か月からが目安となります。パパママとほぼ同じような食べ物が食べられるようになり、1日3回の離乳食に加えて、1日1~2回のおやつを食べ始める子どもも。
完了期を始めるタイミングは次の三つです。
- 食べ物を手づかみして「ご飯を食べたい」という意欲がある
- 柔らかい食材を前歯でかじれる
- 歯茎でかむ動きが十分にできている
スプーンやフォークを自分で持ちたがっていたら、「食べたい」という意欲の表れだと思って良いでしょう。
さらに前歯でかじったり、唇を上手に動かしながら歯茎でかんだりすることが十分にできていたら、もう離乳食完了期に進んでよいころ。子どもが1日3食に慣れてきていたら、完了期に入っても問題はありません。
離乳食完了期を続ける時期は、生後18か月が目安です。ただし、ご飯ではなく軟飯しか食べられなかったり、食事量が目安より少なかったりする場合はもう少し続けてもよいでしょう。
子どもの成長に合わせてあげることが大切です。
- 福岡私立保育士会「'離乳食おたすけBOOK」(http://www.f-hoikushikai.com/file/rinyuu.pdf,2022年6月22日最終閲覧)
- 和光堂「離乳完了期 12~18か月頃の離乳食の進め方の目安」(https://community.wakodo.co.jp/community/babyfood/my1_4.html,2022年6月22日最終閲覧)
- 独立行政法人環境再生保全機構「パート4 月齢に応じた離乳食レシピ:12~18ヵ月頃」(https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/allergy/recipe/babyfood/step4/index.html,2022年6月22日最終閲覧)
離乳食完了期の食事の進め方
それでは、離乳食完了期の食事の進め方について見ていきましょう。離乳食完了期に食べさせる食事の量や離乳食とミルクのバランスについてなど、基本的なポイントをご紹介していきます。
離乳食完了期に食べさせる食事の量は?
まずは離乳食完了期に食べさせる食事量の目安は次のとおりです。
・ごはん:軟飯90g~ごはん80g
・野菜・果物:40~50g
・魚:15~20g
・肉:15~20g
・豆腐:50~55g
・卵:全卵1/2~2/3個
・乳製品:100g ※1
パパママと同じごはんが食べられるならごはんを食べさせ、食べにくそうであれば軟飯から少しずつごはんに移行しましょう。さらに魚・肉・豆腐・卵・乳製品の中から上記のような目安量で食べさせるようにしてください。
上記の食事量はあくまでも目安ですが、他の食材と組み合わせるときは量を変えるようにしてください。例えば、肉と卵の両方を食べさせるのであれば、上記目安量の1/2ずつ食べさせます。
離乳食の食べさせ方は?
離乳食完了期には、手づかみ食べやスプーン・フォークを使いたがったら自由にさせてあげることが大切です。最初に解説したように、これらは「ご飯を食べたい」という子どもの意志ですから、好きなようにさせて食事への意欲を高めさせてあげてくださいね。
最初は「スプーンやフォークを遊び道具にする」と困るかもしれませんが、最初はそれでも大丈夫です。
もちろんケガをしそうであれば注意が必要ですが、ママパパが使い方のお手本を見せてあげたり、手を添えてサポートしてあげたりすればそのうち使い方を覚えてくれるでしょう。
ひじがテーブルにつき、足の裏が補助板につく姿勢でテーブルに座らせてあげると正しい姿勢になり自分で食べやすくなります。
離乳食と授乳のバランスは?
離乳食完了期に入ると1日3回の食事が定着しますが、授乳は必要です。
ただし、子どもが食べる離乳食の量などによって変わるので、ほとんどの栄養を離乳食からとれるようになる子どももいれば、まだ授乳が必要な子どももいます。
フォローアップミルクは、母乳やミルクの代用品ではありません。医師が必要と判断した場合に与えれば問題ありません。
フォローアップミルクは母乳代替食品ではなく、離乳が順調に進んでいる場合は、摂取する必要はない。離乳が順調に進まず鉄欠乏のリスクが高い場合や、適当な体重増加が見られない場合には、医師に相談した上で、必要に応じてフォローアップミルク19を活用すること等を検討する。 ※2
離乳食完了期の調理ポイントは?
離乳食完了期の調理ポイントは、手づかみ食べしやすい料理を作ることです。食材の柔らかさを肉団子くらいにして、野菜は1cm角、魚や肉などはひと口大に小さく切ってあげましょう。
ただし、モヤシなど繊維質の多い食材は、奥歯がないとすりつぶせないので短く切るようにしてください。ご飯は軟飯から始めますが、軟飯に慣れてきたら普通のご飯と同じ固さで炊いても構いません。
大人と同じような調理法の食事が食べられるようになるものの、調味料は少し控えめに。味をしっかりと感じさせてあげることが大切ですが、調味料はあまり使わず薄味にすることが基本です。
また離乳食後期に入ると、子ども自らが手づかみで食べようとすることが多く、スープなどスプーンを使わなければならない食べ物は食べさせにくく感じてしまうでしょう。
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」(https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf,2022年6月22日最終閲覧)
- 福岡私立保育士会「離乳食おたすけBOOK」(http://www.f-hoikushikai.com/file/rinyuu.pdf,2022年6月22日最終閲覧)
離乳食完了期から食べられる食材
離乳食完了期に入ると食べられる食材が増えてきますが、後期に比べてどのような食材を使えるようになるのか事前に把握して、離乳食のレシピを考えておきましょう。
離乳食完了期から食べられる食材とは、一般的に次のとおりです。
- カニ:たんぱく質・ビタミンB群・亜鉛・鉄・ビタミン・ミネラルを含む
- 青魚:脳の発達を促すDHA・血栓や高血圧を予防するEPAが豊富
- ハム、ソーセージ:たんぱく質とエネルギーを作り出す脂質・ビタミンB群が豊富
- 牛乳、豆乳:牛乳は完全食と呼ばれるほど栄養バランスが良く、豆乳はたんぱく質やイソフラボンが豊富
- きのこ:食物繊維・ビタミンB2・プロビタミンD2が豊富
- とうもろこし:糖質を多むため含みエネルギー量が多く、ビタミンやミネラルのバランスが良い
- ねぎ:硫化アリルを含むため、風邪の予防や脂肪燃焼に効果的で殺菌効果がある
- 飲むヨーグルト:腸内細菌のバランスを整える乳酸菌が豊富
甲殻類や油分の多い青魚、肉・魚加工食品も食べられるようになりますが、いずれの食材も離乳食完了期ではまだ注意が必要です。
これまでの離乳食期と同様に、少量から食べさせて、子どもの様子をよく観察しながら量を増やしていきます。食物アレルギーについては先にお話しましたが、甲殻類や牛乳は特に慎重に食べさせるようにしてくださいね。
離乳食完了期には使える食材がさらに増え、1回の食事で食べる量も増えてくるので、冷凍保存などで作り置きして調理の時間を短縮するよう工夫しましょう。
- 和光堂「離乳食の食材チェックリスト」(https://community.wakodo.co.jp/community/babyfood/checklist/#check-05,2022年6月22日最終閲覧)
- パルシステム「離乳食OK食材~選び方早見表~」(https://kosodate.pal-system.co.jp/kihon/zissen/okfoods/,2022年6月22日最終閲覧)
- 国立健康・栄養研究所「ハム・ソーセージの栄養」(https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kidspage/food/FMPro@-db=kids.fp5&-Format=topic_format.html&name_for_url=about_ham_sausage_nikurui&-lay=lay&-max=1&-Find.html,2022年6月22日最終閲覧)
- 農林水産省「特集1 だから、お魚を食べよう!」(https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1401/spe1_01.html,2022年6月22日最終閲覧)
- 農畜産業振興機構「乳製品で大きくなろう!」(https://www.alic.go.jp/doga/koho/koho_product.html,2022年6月22日最終閲覧)
- 国立健康・栄養研究所「きのこの栄養価と健康」(https://www.nibiohn.go.jp/eiken/question/FMPro?-db=question-bbs.fp5&-lay=main&-Format=detail.htm&hatugenID=127&-Find.html,2022年6月22日最終閲覧)
- 農畜産業振興機構「ねぎ」(https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0505_yasai1.html,2022年6月22日最終閲覧)
離乳食完了期を含めた離乳食についての記事をもっと読みたい方は、下記よりごらんください。
先輩ママの離乳食完了期のレシピは?
離乳食完了期の食事の進め方についてご紹介してきましたが、食べられる食材が増えれば、離乳食後期とはまた違うレシピを考えなければいけませんよね。
そこで、先輩ママたちはどのようなレシピで離乳食完了期を終わらせたのか、ママリに寄せられた先輩ママたちの体験談を見ていきましょう。
簡単にできる朝ごはんメニュー
慌ただしい中で作られなければならない朝ごはんのメニューに悩んでいる…というママは多いようで、離乳食完了期に入り食事の量が増えると、さらにレパートリーを増やしたいという方も。
離乳食完了期におすすめの朝ごはんレシピは、パンを使うメニューが多く見られました。
「毎日パンだと飽きるかな?」と思いがちですが、先輩ママたちも毎日の朝ごはんはそれほど変えていないようです。
ただ、フレンチトーストやサンドウィッチにしたり、付け合せの野菜や果物を用意したり…と、栄養バランスがよくなるよう工夫されています。
朝ごはんは毎日パンでもよいでしょうが、離乳食完了期になったら、付け合わせで栄養素を補ってあげることも大切です。
手づかみできるチキンナゲット
手づかみしたがる離乳食完了期にピッタリのおかずレシピ。鶏ひき肉・豆腐・チーズと離乳食完了期なら問題なく食べられる食材ばかり使っているので、おかずのレパートリーに悩んだときおすすめです。
チキンナゲットはいろんな食材を混ぜ込むことができるので、肉・大豆・乳製品・野菜…と、離乳食を一品作るだけで多くの食材を食べさせられるところが良いですね。ふわふわとした食感なので、子どもも喜んで食べてくれるようです。
野菜をじょうずに食べさせるためのレシピ
野菜をなかなか食べてくれない離乳食完了期の子どものためのレシピです。離乳食期に頻繁に使う野菜を嫌がられると、どうやって食べさせればよいのか…と悩みのタネになりがちですね。
野菜をじょうずに食べさせるには、チーズやマヨネーズなどを活用してみてください。
離乳食完了期になれば、マヨネーズもチーズも少量ずつ使えるようになります。ポテトサラダなら子ども好みの味付けなので、苦手な野菜を混ぜ込んでも食べてくれるのではないでしょうか。
離乳食では中期から使えるナスも、アク抜きさえしっかりとすれば味にクセがないのでおすすめの食材です。
離乳食完了期の悩みについて
先輩ママが実践していたレシピに続いて、次は先輩ママたちからの離乳食完了期によくあるお悩みへの回答をご紹介しますね。
取り分けるときはどんな料理を食べさせればよいの?
離乳食完了期になると、「大人の料理からの取り分け」がされるようになります。しかし慎重なママパパであれば、どんな料理を取り分ければよいのか、食べさせても大丈夫なのかと不安になることもあるでしょう。
離乳食を卒業した子どもを持つ先輩ママは、どんな風に取り分けしていたのでしょうか?
先輩ママたちの体験談を見ると、コロッケや餃子、焼き魚、ミートソースなど、濃い味付けのものも取り分けされていたようです。外食時などのときは濃い味付けのものを少量にするなど、全体のバランスを見て取り分けると良さそうですね。
離乳食期の子どもでも食べられるようにと配慮しながら、パパママの料理も作っているようですが、離乳食完了期で食べられる食材を使用する料理で、調味料が少なめであればいろいろな料理を取り分けられると考えて良いでしょう。
もちろん、食物アレルギーがある場合は慎重さが求められますが、いろいろな食材を食べられるようになって食への興味を示す子どもであれば、多種多様な味の料理を食べさせてあげたほうが、味覚が育つのではないでしょうか。
「離乳食完了」はどうなったら完了なの?
この記事の最初にもお話しましたが、やはり「離乳食は何をもって完了とするの?」という疑問を持っている方は多いようです。
食事だけで栄養を取れるようになったら、それで離乳食は卒業と考えてよいのでしょうか。
離乳食完了期の解説となると、本やネットでも初期より詳しく説明されていないことが多いもの。厚生労働省のガイドによると、「離乳の完了」の項目に次のように記載されています。
離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳又は育児用ミルク以外の食物から摂取できるようになった状態をいう。(中略)なお、離乳の完了は、母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない。 ※3
離乳食卒業は「授乳や育児用ミルクが必要なくなったら」と思ってしまいがちですが、厚生労働省のポイントによると、そうではないようですね。
離乳食完了期は子どもの成長にあわせて
離乳食完了期になると「いつまで離乳食を続けるべきなのか?」とさまざまな疑問が浮かぶことでしょうが、明確な答えはなく、子どもの成長にあわせてあげることが一番。
子どもによって食の成長は違うので、「生後○か月まで」と区切ることはできません。母乳やミルクの割合が減ってきて、主に食事から栄養を摂取できるようになったときが、離乳食の卒業です。
離乳食を卒業するまでは、ご紹介した手づかみで食べやすく作り置きできる朝ごはんやおかずの献立レシピを参考に、子どもの味覚を育ててあげてくださいね。