うちの世帯年収で、いくらの家を購入できる?
世帯年収に見合ったマイホームの価格は、細かくいうと家庭ごとのお金の使い方や年齢、退職金の有無などさまざまな要素によって違います。
しかし、住宅ローンを利用することが決まっているなら、大まかに「借入可能額+頭金」が購入価格のベースです。さらに諸費用も考慮して計算すれば、無理のない購入可能価格を算出できます。
Ⓒママリ
上記の式により、世帯年収ごとの購入可能価格を試算したのが次の表です。
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上記は「借入期間35年」「金利1.7%(全期間固定金利)」の場合です。表を見て、「本当にこの価格の家が買えるの?」あるいは「もっと高い家が買えるのでは?」と疑問に思う人もいるでしょう。もちろんお財布事情は家庭ごとに違うので、絶対的な数字ではありませんが、収入に応じた一つの目安として参考にしてください。
上記の購入可能価格には、頭金や諸費用も考慮されています。住宅ローンで借りられる金額以外に用意しておくべきこれらのお金については、住宅を検討中のうちから知っておき、準備しておきましょう。
頭金の理想は、物件価格の2割
購入後の生活を考えると、物件価格の2割ほどの頭金を用意することが理想です。頭金が多いほど借入金額を減らせるため、毎月の返済がぐっと楽になります。2割が難しい場合は、1割程度を目標に用意できるとよいですね。
ただし、世帯年収や生活パターンによって事情は異なるもの。どうしても難しい場合には年収の半額程度を用意できれば、住宅購入は可能です。借入金額が大きくなりやすいため、購入後の家計運営もよく考えてから決断しましょう。
頭金の用意で注意したいのは「頭金=預貯金」ではない点。病気や失業、災害などで収入がストップしたときに備えるお金は、頭金とは別に確保が必要です。もしもの場合に備えて、生活費の3ヶ月~半年分は貯金があると安心できるでしょう。
住宅ローン借入額は年収の6倍が目安
住宅金融支援機構の「2017年度フラット35利用者調査」によると新築物件を購入する場合における借入金の目安は、年収の6~7倍、中古物件の購入時で5倍程度となっています。
かつては年収の5倍以内といわれていましたが、現在はもう少し大きく借りている人が多いよう。住宅ローンの金利が低く、利息負担が小さいためと考えられます。逆にいうと、今後金利が上がったときには、もう少し抑えて借りるのが賢明といえそうですね。
また「借りられる額=返せる額」ではない点も気をつけて考えましょう。頭金なしのフルローンが組めるとしても、返済額の負担を考えるとおすすめできません。毎月の返済額を確認し、確実に払える額を借りましょう。
諸費用は物件価格の約6%が「現金で」必要
マイホーム購入時には諸費用がかかります。諸費用とは、住宅ローン契約時にかかる保証料や事務手数料、火災保険料などのことです。諸費用は物件価格に応じて高くなるのが一般的で、新築物の場合で物件価格の5%程度、中古物件で7%程度が目安です。
これらの諸費用は住宅ローンに含まれず、現金で支払うのが一般的。諸費用もローンに上乗せして借りられる「諸費用ローン」もありますが、借入金が増えれば月々の負担が重くなります。頭金とは別に、現金で支払えるように準備しておくとよいでしょう。
住宅の購入後には、維持費や税金などの費用がかかる
マイホーム購入後にかかる維持費についても知っておきましょう。住宅を購入すると住宅ローン以外にも費用がかかります。マンションなら、管理費や修繕積立金がかかります。一戸建ての場合も、不定期にメンテナンス費がかかるので、余裕をもった返済額を設定しないと後で苦労するかもしれません。
さらに、マイホームには税金も発生します。購入時に「不動産取得税」、そして購入の翌年からは「固定資産税」を支払います。固定資産税は毎年納税するため、購入前にいくらかかるのか確認しておくとよいでしょう。
- 住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf,2019年1月14日最終閲覧)
「買える物件価格」が見えた!次のステップは家計の状況によって違う
自分の世帯における購入可能額を見て、どのように感じましたか?「このままでは住宅購入なんて夢のままになってしまうかも」と不安になった方がいれば「意外と今のままでも購入できるかも」と安心した方もいるかもしれませんね。
買える物件の価格がわかってからできることは、世帯年収やママの働き方によって違います。以下の記事を参考に「わが家がこれからできること」をチェックしてみてください。
試算よりも価格帯が高いマイホームを目指したいときは
希望している購入価格よりも購入可能額が低かった場合、頭金か借入額を上げる必要があります。そのためには「収入を増やす」もしくは「支出を減らす」ためのアクションをしましょう。
収入を増やす
育児に集中するために働き方をセーブする、あるいは働かないという選択をしているママもいるでしょう。特に専業主婦の場合、いざマイホームのために収入を増やそうと思っても、就職活動のための出費や保育料などを考えて二の足を踏んでしまうかもしれません。
しかし、長期的に見れば世帯収入の底上げは家計を助けます。今より収入を上げる必要があるなら、ゆくゆくは働くことを検討しましょう。すでに働いているママも、正社員を目指したり、よりよい条件のところへ転職したりといった選択肢があります。保育園が預かってくれる時間帯や、自分の体力面などを意識しつつ、働き方を変えることで収入アップできないか模索してみるとよいですね。
支出を減らす
収入が増えたとしても「働いた分、自炊が面倒で外食が増えた」「息抜きのために思わず無駄遣いをしてしまう」など、支出も連れだって増えてしまうのは避けたいもの。収入アップだけでなく、支出の引き締めも意識しましょう。ただし、過度な節約はストレスのもととなりリバウンドにつながります。無理のない範囲で支出を減らす工夫を。1度の見直しで継続的な節約効果が期待できる、固定費の見直しから始めてみましょう。
マイホーム購入という家族の共通目標がある今は「節約習慣」を身につけるチャンスです。ママだけでなく、パパも子供も含め、家族で支出カットを実行するのがコツですよ。
購入可能な価格のマイホームを目指すなら
住みたいと考える家の値段と、先に挙げた「購入可能価格」の額が近いなら、マイホーム購入のハードルは比較的低いでしょう。頭金を貯めつつ、物件選びを始めてみましょう。
購入が現実味を帯びてきたからこそ、現金の用意が大切。マイホーム購入に伴ってかかる費用をあらかじめ洗い出しておき、「想定外の支出」を避けましょう。
頭金の目安よりも余裕を持って貯蓄を
頭金は年収の半分程度でも住宅を購入できますが、頭金以外にも現金が必要なシーンは多いもの。例えば住宅ローンの手数料や家具の購入費用、引っ越し費用はローンと合算することはできません。
「頭金さえ貯めておけばあとはローンでなんとかなる」と考えることなく、余裕を持って引っ越し、マイホームでの生活ができる程度の貯蓄をしておきましょう。
住宅ローンをどう組むかイメージしておく
住宅ローンは、手数料や団体信用生命保険(通称:団信)の内容、金利タイプなどを考慮して自分に合ったものを選びます。中でも毎月の返済額に大きく関わるのは「金利タイプ」です。金利タイプは以下の2種類が挙げられます。
- 変動金利:固定金利に比べて金利水準は低いが、その分金利上昇のリスクがある
- 固定金利:完済まで金利が変わらない
変動金利は金利水準が低くお得に見えるものの、後で金利が上昇するリスクがあります。中には変動金利をおすすめする住宅の営業マンもいるかもしれませんが、金利が上がったときの返済額も考慮して判断しましょう。
手堅く借りるなら、全期間固定金利の「フラット35」がおすすめ。完済まで金利が変わらず、金利上昇のリスクを負わずに済みます。これなら、教育費の負担が大きくなることも想定して返済額を考えておけますね。金利水準が高めといわれる全期間固定金利でも、2019年現在は十分に低金利である点もポイントです。
身の丈に合ったマイホーム選びをしよう
せっかく新居を手に入れても、返済に追われていては喜びは半減。収入と返済能力に応じたマイホームを選ぶことで、新たな家での生活でローンに追われることはないはず。
次の記事からは、年収ごとに買える物件価格の詳細と、購入に向けてできることをご紹介していきます。ご自身の世帯年収に応じた記事を参考にしてくださいね。