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監修:三木 崇弘

指摘=批判ではない、1歳6か月健診で発達の遅れを見つけるメリット

1歳6か月ごろになると、発達の個人差が大きくなります。わが子の発達が遅れていると感じ、焦ることがあるかもしれません。そんな時期の1歳6か月児健康診査には、まるで子育てを評価されるようなプレッシャーを感じる人もいるでしょう。一方、1歳6か月での発達チェックを受けることは、親子にとってもメリットがあります。この記事では1歳6か月児健康診査での確認項目と、チェックの目的について知っておきましょう。

ⓒママリ

1歳6か月で発達チェックをする理由

1歳6か月児健康診査(以下、1歳6か月健診)では、運動、社会性、言語の発達を確認します。

こうしたチェックは、親にとってプレッシャーになりえます。また、仮に1歳6か月健診で指摘を受けてもいずれ発達が追い付くケースがあり、チェックの必要性に疑問を感じるかもしれません。

しかし多くの子どもの中にいる「今、支援が必要な子」を、健診で見つけることには意味があります。1歳6か月の時点からその子にとって必要な支援を受けさせられれば、子どもが生活しやすくなり、親の気持ちが楽になることが期待できるからです。

出典元:

1歳6か月健診での主な確認項目

ここからは、1歳6か月健診での主な確認項目を紹介します。各項目の発達段階は一般的なもので「できていないから問題がある」ということではありません。

(わが子の発達状況に不安があるとき、かかりつけ医や保健師などに相談する目安として捉えてください)

基本的な生活習慣

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1歳6か月健診では、発達とは別に生活習慣についても重要視しています。

たとえば昼夜逆転や夜泣きが終わらないなど、毎日の生活に困難がある場合、親子ともに苦しんでいるケースがあります。また、睡眠の問題は発達障害のある子に起きやすいことが知られており、早い発見が大切です。専門家の指導を受ければ親子ともに睡眠時間を確保できるようになり、生活の悩みが軽減される場合があります。

生活習慣の困難は医師の診察時にはわかりにくいため、問診票などを使って聞き取りの時間があります。もし子どもの生活習慣で悩んでいる場合は相談してみましょう。

出典元:
  • 矢野のり子「1歳6ヵ月健診における親と子への発達援助と子育て支援」(http://www.kobe-yamate.ac.jp/library/journal/pdf/univ/kiyo17/17yano.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
  • 木村直子「幼児健康診査における「発達障害」スクリーニングの手法 」鳴門教育大学研究紀要第24巻,1-7(2009)

運動の発達

子どもの運動機能の発達も大切な健診項目です。1歳6か月では、ひとり歩きが主な確認事項とされています。

1歳6か月ごろは、できるだけ転ばずに2~3m歩けるかどうかをチェックします。もしできない場合でも、身体的な問題がなければいずれ歩けるようになる子もいて、現段階で歩けないことがすなわち発達障害というわけではありません。

不安がある方は健診などで相談し、身体的な問題がないか確認してもらうと心配が減るかもしれません。

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社会性の発達

心の発達については、主に問診で確認をします。1歳6か月ごろでは、見立て遊びをするか、大人のまねをして遊ぶか、といった確認項目です。例えば、車のおもちゃを「ぶぶ~」と言いながら走らせたり、ぬいぐるみを寝かしつける遊びをしたりしていれば、目安に沿った成長と言えるでしょう。

もし、1歳6か月時点で遅れがあっても、親が専門家から、子どもとのコミュニケーション方法や遊び方の指導を受ければ、わが子の発達段階に合った目標を持って成長を見守ることができます。必要な助言を受け、親の不安が和らぐメリットもあります。

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言語の発達

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意味のある単語が2~3語発するか、「ママ=お母さん」など、言葉の意味を理解しているかが確認項目です。

発達の個人差は大きく、話す力と理解する力のバランスも一人一人違います。中には「言葉は理解しているが、話さない」という子もいます。話さないからといって、発達に問題があるとも限りません。

わが子の一面だけを見て心配するよりも、専門家に相談して、支援が必要か判断してもらうのも安心につながるでしょう。

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発達の指摘は、子育てを支えてもらうきっかけに

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発達の遅れを指摘されると、育児に×印を付けられたようで、ショックを受けることもあるでしょう。しかし、指摘は親への批判ではなく、子育ての困難や悩みを解決するためのきっかけとなるものです。

健診をきっかけに、気になることは積極的に相談してみましょう。親だけで悩むよりも早く、育てにくさによる親の不安や生活の困難を楽にする方法が見つかるかもしれません。

記事の監修

フリーランス児童精神科医

三木 崇弘

兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒、東京医科歯科大学大学院修了(医学博士)、早稲田大学ビジネススクール在学中。

愛媛県内の病院で初期研修・小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として6年間勤務。
愛媛時代は保護者との座談会や研修会などを行う。東京に転勤後は学校教員向けの研修などを通じて教育現場を覗く。
子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。

2019年4月よりフリーランス。“問題のある子”に関わる各機関(クリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、児童自立支援施設、保健所など)での現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動をしている。
知的障害支援「あいプロジェクト」代表。

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