ⓒママリ
1歳6か月で発達チェックをする理由
1歳6か月児健康診査(以下、1歳6か月健診)では、運動、社会性、言語の発達を確認します。
こうしたチェックは、親にとってプレッシャーになりえます。また、仮に1歳6か月健診で指摘を受けてもいずれ発達が追い付くケースがあり、チェックの必要性に疑問を感じるかもしれません。
しかし多くの子どもの中にいる「今、支援が必要な子」を、健診で見つけることには意味があります。1歳6か月の時点からその子にとって必要な支援を受けさせられれば、子どもが生活しやすくなり、親の気持ちが楽になることが期待できるからです。
- 矢野のり子「1歳6ヵ月健診における親と子への発達援助と子育て支援」(http://www.kobe-yamate.ac.jp/library/journal/pdf/univ/kiyo17/17yano.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
- 愛知県「第5節 1歳6か月児の健康診査」(https://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/hoken/information/file/screening_manual/manual10.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
1歳6か月健診での主な確認項目
ここからは、1歳6か月健診での主な確認項目を紹介します。各項目の発達段階は一般的なもので「できていないから問題がある」ということではありません。
(わが子の発達状況に不安があるとき、かかりつけ医や保健師などに相談する目安として捉えてください)
基本的な生活習慣
ⓒママリ
1歳6か月健診では、発達とは別に生活習慣についても重要視しています。
たとえば昼夜逆転や夜泣きが終わらないなど、毎日の生活に困難がある場合、親子ともに苦しんでいるケースがあります。また、睡眠の問題は発達障害のある子に起きやすいことが知られており、早い発見が大切です。専門家の指導を受ければ親子ともに睡眠時間を確保できるようになり、生活の悩みが軽減される場合があります。
生活習慣の困難は医師の診察時にはわかりにくいため、問診票などを使って聞き取りの時間があります。もし子どもの生活習慣で悩んでいる場合は相談してみましょう。
- 矢野のり子「1歳6ヵ月健診における親と子への発達援助と子育て支援」(http://www.kobe-yamate.ac.jp/library/journal/pdf/univ/kiyo17/17yano.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
- 木村直子「幼児健康診査における「発達障害」スクリーニングの手法 」鳴門教育大学研究紀要第24巻,1-7(2009)
運動の発達
子どもの運動機能の発達も大切な健診項目です。1歳6か月では、ひとり歩きが主な確認事項とされています。
1歳6か月ごろは、できるだけ転ばずに2~3m歩けるかどうかをチェックします。もしできない場合でも、身体的な問題がなければいずれ歩けるようになる子もいて、現段階で歩けないことがすなわち発達障害というわけではありません。
不安がある方は健診などで相談し、身体的な問題がないか確認してもらうと心配が減るかもしれません。
- 新潟県医師会 「乳幼児健康診査の手引」(https://www.hapiny.niigata.jp/download/h27_kennsinn_syuusei5.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
- あいち小児保健医療総合センター「第3章 乳幼児健診の実際 」(https://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/hoken/information/file/screening_manual/manual08.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
社会性の発達
心の発達については、主に問診で確認をします。1歳6か月ごろでは、見立て遊びをするか、大人のまねをして遊ぶか、といった確認項目です。例えば、車のおもちゃを「ぶぶ~」と言いながら走らせたり、ぬいぐるみを寝かしつける遊びをしたりしていれば、目安に沿った成長と言えるでしょう。
もし、1歳6か月時点で遅れがあっても、親が専門家から、子どもとのコミュニケーション方法や遊び方の指導を受ければ、わが子の発達段階に合った目標を持って成長を見守ることができます。必要な助言を受け、親の不安が和らぐメリットもあります。
- 新潟県医師会 「乳幼児健康診査の手引」(https://www.hapiny.niigata.jp/download/h27_kennsinn_syuusei5.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
- 楡の会こどもクリニック 「発達の遅れの理解と発達を促すための大人の関わり方 」(http://nire.or.jp/wp-content/uploads/2016/02/1abd4862683362642794b6f4df9f9849.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
言語の発達
ⓒママリ
意味のある単語が2~3語発するか、「ママ=お母さん」など、言葉の意味を理解しているかが確認項目です。
発達の個人差は大きく、話す力と理解する力のバランスも一人一人違います。中には「言葉は理解しているが、話さない」という子もいます。話さないからといって、発達に問題があるとも限りません。
わが子の一面だけを見て心配するよりも、専門家に相談して、支援が必要か判断してもらうのも安心につながるでしょう。
- 新潟県医師会 「乳幼児健康診査の手引」(https://www.hapiny.niigata.jp/download/h27_kennsinn_syuusei5.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
- 楡の会こどもクリニック「発達の遅れの理解と発達を促すための大人の関わり方 」(http://nire.or.jp/wp-content/uploads/2016/02/1abd4862683362642794b6f4df9f9849.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
- 愛知県青い鳥医療福祉センター「福祉と障害者理解のための情報紙 」(http://aoitori-center.com/pdf/toku1.pdf,2021年4月28日最終閲覧)
発達の指摘は、子育てを支えてもらうきっかけに
ⓒママリ
発達の遅れを指摘されると、育児に×印を付けられたようで、ショックを受けることもあるでしょう。しかし、指摘は親への批判ではなく、子育ての困難や悩みを解決するためのきっかけとなるものです。
健診をきっかけに、気になることは積極的に相談してみましょう。親だけで悩むよりも早く、育てにくさによる親の不安や生活の困難を楽にする方法が見つかるかもしれません。