赤ちゃんはどのくらいの睡眠時間が必要?
睡眠不足は、大人もつらいですよね。日中に眠気が襲ってきて、仕事が手につかなくなってしまったり、イライラしたりという経験のある方もいるでしょう。それは子どもも同じことです。大人よりも早く寝ているから大丈夫、または寝ないんだから仕方ない、なんて思っていませんか。
朝なかなか起きられなかったり日中ぼーっとしてしまったりというのは寝不足が原因かもしれません。慢性的な睡眠不足は、子どもの成長をさまたげてしまいます。
それでは、子どもにはどれくらいの睡眠時間が適正なのでしょうか。
月齢別・赤ちゃんの睡眠時間の目安
生まれたばかりの赤ちゃんは、1日の大半を寝て過ごします。成長にともない、徐々に起きている時間が長くなり、昼寝とは別に夜にまとまって眠るようになります。
新生児~生後1か月の赤ちゃんの睡眠時間
1日の睡眠時間は16~20時間。昼夜問わず、細切れに眠ったり起きたりをくり返します。お世話をする人は、赤ちゃんに合わせて起きなければならないため、寝不足に陥りがちでつらい時期でもあります。
おなかの中にいるときには昼も夜もなかった赤ちゃん。好きなときに寝て、好きなときに起きていました。生まれてからも、しばらくの間はそれが続くのです。まだ時間を決めず、寝たいだけ寝かせてあげましょう。
生後2~3か月の赤ちゃんの睡眠時間
1日の睡眠時間は約15時間。太陽の光を浴びたり、昼間の音と夜の静けさの違いを感じたりしているうちに、昼と夜の区別がつき、だんだんとリズムが整ってくる時期。昼間は明るいところで過ごし、夜は暗くして寝かせます。
むにゃむにゃしていて起きているのか寝ているのか分からなかった赤ちゃんも、この頃には目もぱっちりと開き、起きている時間と寝ている時間の区別がしっかりつきます。
この頃には、夜通し寝てくれる赤ちゃんもいますが、まだ夜中に何回も起きておっぱいをほしがる赤ちゃんが大半なので、まとまった睡眠時間にならなくても大丈夫。1日を通してトータルで睡眠時間を計算しましょう。
生後4~6か月の赤ちゃんの睡眠時間
1日の睡眠時間は約14時間。午前と午後に1回ずつ昼寝をします。夜の睡眠時間が長くなり、一度も起きずに朝を迎えられる子も。朝は決まった時間に起こしてあげ、昼寝と就寝時間のリズムを整えましょう。
日中10時間ほど起きていられるようになり、お出かけもしやすくなります。朝に太陽の光を浴びると、夜にぐっすり眠れるようになるという研究結果が出ており、午前中はお散歩やお部屋の窓際で遊ばせましょう。
生後7~11か月の赤ちゃんの睡眠時間
1日の睡眠時間は約13~14時間。昼寝はまだ2回。夜にまとまって眠る赤ちゃんが多くなり、夜間の授乳は必要なくなります。夜中に起きるのは、おなかがすいているからではなく、ママが恋しかったり、ただ起きてしまったりして泣いているだけかもしれません。
もし夜中に赤ちゃんが起きても、部屋を明るくしたり抱き上げたりせずに、しばらく様子をみてもいいでしょう。赤ちゃんはママやパパがそばにいるだけで、安心して再び寝ることもありますよ。
1歳0か月の赤ちゃんの睡眠時間
1日の睡眠時間は10~11時間ほど。お昼寝は午後の1回だけになり、ほとんどを大人と同じように夜の睡眠でとるようになります。
この時期、夜中に頻繁に起きるようであれば、寝かしつけの方法を変えてみましょう。抱っこや添い乳での寝かしつけは、夜泣きの原因になると言われています。また、暑かったり寒かったりして起きる赤ちゃんもいます。
- 妹尾小児科「赤ちゃんの睡眠」(http://senoopc.jp/ccare/basleep.html,2020年11月19日最終閲覧)
- 厚生労働省「未就学児の睡眠指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf,2020年11月19日最終閲覧)
目安の睡眠時間より短いor長い!原因と対処法
もし、わが子が目安の睡眠時間よりも短かったり、長かったりする場合はどうしたらよいでしょうか。主な原因と対処法をまとめてみました。
赤ちゃんの睡眠時間が短い場合
日によってよく寝る日もあれば、寝ない日もあるでしょう。寝ない日のほうが多い場合は、なぜ寝ないのか、その原因を探ってみましょう。おなかがすいている、おむつがぬれている、暑いや寒いなどといったほか、何か眠りをさまたげるものがないか考えてみてください。
就寝時間が遅い場合は、早める必要があります。「成長ホルモン」とも呼ばれていますが、夜間には成長にかかわるホルモンがたくさん分泌されます。これらはからだの成長だけではなく、精神の安定やその後の生活習慣病予防にもなりますので、20~21時には寝かせましょう。
夜更かしをすれば朝起きる時間も遅くなり、朝日を浴びられないと体内時計がずれ、日中ぼーっとして遊べなかったり食欲がなくなったりします。そして夜もなかなか眠れない…という悪循環にもなります。生活リズムを整え、「早寝・早起き」が基本です。
赤ちゃんの睡眠時間が長い場合
体調不良等ではなさそうで、目安の睡眠時間よりも多く寝る場合はとくに問題ありません。日中にたくさん遊んで、疲れているのでしょう。新生児の頃から、夜にまとまって眠る赤ちゃんもいます。可能なタイミングで異常がないか様子をみつつ、たっぷり寝かせてあげてください。
寝る前に充分おっぱいやミルクを飲んでいれば、夜間に赤ちゃんの栄養が不足することはありませんが、体重が増えていないようなら、眠りが浅くなりすんなり起きるタイミングで授乳しましょう。
また、夜間に授乳間隔があき過ぎるとママはおっぱいが張り、乳腺炎になってしまったり、おっぱいの出が悪くなってしまったりすることも考えられます。もし授乳間隔が心配なようであれば、さく乳も選択肢に入れましょう。
- 厚生労働省「未就学児の睡眠指針 」(https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf,2020年11月25日最終閲覧)
- 全日本民医連「特集2 子どもの睡眠不足はなぜ悪い? 夜更かしっ子大国、日本 生活習慣病、イライラ、学力低下招く」(https://www.min-iren.gr.jp/?p=4711,2020年11月25日最終閲覧)
- 妹尾小児科「赤ちゃんの睡眠」(http://senoopc.jp/ccare/basleep.html,2020年11月25日最終閲覧)
- 瀬川記念小児神経学クリニック「睡眠障害」(http://segawa-clinic.jp/neurological/disease/sleeping.html,2020年11月25日最終閲覧)
赤ちゃんがまとまった時間寝てくれる方法
夜泣きが多かったり、夜何度も起きてしまったりするのはママやパパもつらいですね。まとまって寝ない原因としては、いくつか考えられます。
- 昼寝が長すぎて夜眠れない、または昼夜逆転している
- 物音や光で起きてしまう
- 暑い、または寒い
- 抱っこや添い乳、スマホで寝かしつけをしている
朝は7時くらいまでには起こし、昼寝は夜の睡眠に影響しないように午後3時までには起こしましょう。生活リズムが整えば、自然とまとまって眠ってくれるようになります。
寝室に明かりがある、物音がするなどの原因で起きる赤ちゃんもいます。また、夏場や寒い冬はエアコンなどを活用し、快適な室温に保つようにするほか、赤ちゃんに着せすぎていないか、布団をはいでしまっていないかなどを確認してみてください。
添い乳で寝かしつけをすると、次に起きたときに口の中におっぱいがなければ泣いてしまいます。できれば添い寝で寝られるようにしましょう。また、寝る前にスマホで動画を見せている家庭もあると思いますが、スマホではなく絵本や、布団でごろごろして眠くなるタイミングを待ちましょう。
- 瀬川記念小児神経学クリニック「睡眠障害」(http://segawa-clinic.jp/neurological/disease/sleeping.html,2020年11月10日最終閲覧)
- 妹尾小児科「赤ちゃんの睡眠」(http://senoopc.jp/ccare/basleep.html,2020年11月10日最終閲覧)
- 全日本民医連「特集2子どもの睡眠不足はなぜ悪い? 夜更かしっ子大国、日本 生活習慣病、イライラ、学力低下招く」(https://www.min-iren.gr.jp/?p=4711,2020年11月10日最終閲覧)
- 厚生労働省「未就学児の睡眠指針 」(https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf,2020年11月10日最終閲覧)
赤ちゃんが適切な睡眠時間をとるには環境を整えることも大切
赤ちゃんに適切な睡眠時間を取ってもらい、快眠によって健やかに成長してもらうためには、親が睡眠環境を良好に整えてあげることも必要です。そのためにはどんなことに注意すればよいかいくつか紹介しますので、できることから実践してみてください。
心地よく眠る睡眠の質を高めることのメリット
まず適切な睡眠時間を確保することも大切ですが、心地よく眠れるように睡眠の質を高めることも大切です。ただ寝ればよいというわけではなく、眠っているときの部屋の温度や湿度、寝具、明るさなどによって睡眠の質も変化してしまいます。
睡眠は基本的に、浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠に大別され、新生児ではノンレム睡眠が大半を占めます。成長ホルモンは深いノンレム睡眠時に分泌されますので、赤ちゃんの睡眠の質を高めることは、心身の成長には欠かせないのです。
部屋の環境で気を付けることは?
寝ているときの部屋の温度が暑かったり寒かったりすると、不快感で目を覚ましてしまうこともあります。
赤ちゃんにとって適切な室温は24~26度程度で、大人がパジャマでいても寒くないくらいの温度が望ましいです。また、エアコンなどを使用すると乾燥しやすく、夏季には湿気で蒸し暑く感じるので、部屋の湿度も50~60%になるよう加湿器などを活用して快適に眠れるよう調節しましょう。
赤ちゃんの快適な眠りを促す寝具!そろえたいものは?
赤ちゃんの寝つきの悪さや夜泣きに悩んでいる場合には、快適な眠りを促す寝具やインテリアなどを取り入れてみるのもよいでしょう。
まず、昼間でも熟睡できるよう、寝室のカーテンは遮光のものにし、照明も明るすぎないようやわらかい光で照らせるものを選んでください。そして、デリケートな赤ちゃんが直接触れるシーツや布団などの布製品はダニなどのアレルゲンが繁殖しやすいので、抗菌・防ダニの製品を選んで清潔さを保てるようにしてください。
また、ベビーベッドには赤ちゃんが眠りやすい固めのマットレスを敷き、掛け布団、肌布団、カバー、シーツなどもそろえます。赤ちゃんの寝具は汗やおねしょなどで汚れがちなのでシーツやカバーは複数用意し、防水加工されているおねしょシーツもあるとよいでしょう。さらに、部屋の温度や湿度をチェックできる温湿度計もあると安心です。
- 医療法人尚徳会 ヨナハ丘の上病院「赤ちゃんの睡眠と夜泣き」(https://yonaha.or.jp/column/baby_sleep.html,2023年9月15日最終閲覧)
- 日本赤十字社医療センター「【赤ちゃんの生活環境】」(https://www.med.jrc.or.jp/Portals/0/resources/hospital/clinic/sanka/maternity_14.pdf,2023年9月15日最終閲覧)
- 厚生労働省「未就学児の睡眠指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf,2023年9月15日最終閲覧)
赤ちゃんの快適な眠りのために先輩ママが使った寝具は?
実際に、赤ちゃんの快眠のためにはどんなグッズがあるとよいのか、ママリに寄せられた先輩ママの体験談を紹介します。
赤ちゃんの気持ちを落ち着かせて眠りに誘うおしゃぶりは必須!ほかには、夜泣きする赤ちゃんのために作られたおくるみ「スワドルアップ」や、ミルク、さまざまな周波数の音を混ぜたホワイトノイズと呼ばれる雑音を発生させる機器なども有効のようです。
睡眠は子どもの成長にとって欠かせないもの
1日中寝てばかりいるように感じられる赤ちゃんにも適切な睡眠時間があり、寝つきが悪かったり夜泣きでたびたび起きてしまったりすると、睡眠不足になり健やかな成長を妨げてしまう恐れもあります。それだけでなく、将来の生活習慣病などのリスクも高めてしまうので、赤ちゃんのころから生活リズムを整え、適切な睡眠をとることが重要なのだとわかりますね。
寝つきの良さや睡眠の深さなどには赤ちゃんによっても個人差がありますが、まずはわが子が安心して眠れる環境を整えることが大切。親の生活リズムの乱れは子どもに影響するといわれていますので、これを機にママやパパの生活から見直してみるのもよいかもしれませんね。
睡眠時間は長すぎるのも短すぎるのも良くありませんが、いろいろ試しても赤ちゃんの寝つきが悪く夜泣きも減らないという場合には、1人で悩まずに小児科などでも相談してみてださいね。